single.php

日常生活の先にある、ちょっと特別な時間。goodroom hotel 京都のこだわりを聞いてみました

goodstory Vol.7

シェア
日常生活の先にある、ちょっと特別な時間。goodroom hotel 京都のこだわりを聞いてみました

新たなホテル「goodroom hotel 京都」がオープン。グッドルームの代表・小倉さんと、空間デザイン&設計を担当した高垣さんに、ホテルのコンセプトやこだわりについて詳しく聞いてみました。

text:RYO ODA

京都の中心地エリアにある「阪急電車・京都河原町駅」から徒歩10分、「京阪電車・三条駅」から徒歩5分。京都観光も楽しめるこの場所に、新たに「goodroom hotel 京都」がオープンしました。

これまでグッドルームは、サウナ付きコリビングレジデンス「goodroom residence」という、あたらしい住む場所をつくってきました。

今回、京都でホテルを新たにつくるにあたり、どんなこだわりを詰め込んだのか、設計・空間デザインを担当した高垣さんと、グッドルームの代表取締役である小倉さんにインタビューしました。

WU design 高垣麻衣花(たかがき・まいか)さん

建築家/空間デザイナー。2014年から2024年まで伊東豊雄建築設計事務所に在籍し、国内外のプロジェクトに従事。2025年にWU designを設立。建築からインテリアまで、環境と呼応する空間づくりを手がける。

小倉さん

グッドルーム株式会社代表取締役。gooddays ホールディングスの共同創業者であり、住まい × IT を軸に「どこにもない、ふつう」を提案する事業群を展開。

暮らしと旅の境界線が曖昧になってきている

―― 今回ホテルをつくるにあたり、どのような場所にしたいなと考えていましたか?

小倉さん: 暮らしと旅の境界線が溶け合うような場所にしたいな、と思っていました。

これまで「どこにもないふつう」というコンセプトで、暮らしや日常のための場所をつくってきました。一方で、仕事と暮らしの境界線が曖昧になってきているように、暮らしと旅の関係性も変わってきていると思うんです。

小倉さん:だから今回は、完全に非日常な空間をつくるよりも、日常の延長線上の場所として、暮らすように滞在する場所をつくりたかったんです。それでいて、これまでの日常生活とはちょっと違う、どこか特別な場所にもしたい。

豪華絢爛なラグジュアリーさでもなく、かといって機能性重視のビジネスホテルでもない、日本の暮らしをベースにしたホテルをつくろうと決めました。

「日常のちょっと先」にある特別感とは

―― 小倉さんのおっしゃる「日常の延長」というコンセプトを、高垣さんは空間デザインとしてどう受け止めたのでしょうか。

高垣さん: 旅行に来て、ラグジュアリーな客室で非日常感を感じてもらう体験も、もちろん素敵だと思うんです。でも今回はあくまで、そういった非日常体験よりも「日常のちょっと先にある特別感」に気づいてもらえるような場所にできたらいいなと思っていて。

なので、一見するとシンプルだと感じられるデザインにしつつ、あえて「違和感」をさりげなく残すよう設計しました。

―― 「日常のちょっと先にある特別感」。具体的にはどういう感覚なんでしょう?

高垣さん: 人によって違う部分かもしれませんが、私は「ふとしたときに感じる美しさ」だと思うんです。「今日の光、綺麗だな」とか、「なんだか空の色がいつもより深いな」とか、そういうささやかなこと。

普段の生活だと気づかないような美しさに、気づいてもらえる場所。それがどこか、グッドルームらしさにもつながるのかなと考えました。

―― なるほど! でも空間として設計するのは、すごく難しそうですね。

高垣さん: その微妙な感覚をどう設計していくか考えたとき、今回のプロジェクトが「オフィスビルからの改修」だったことがひとつの鍵になりました。

高垣さん: オフィスビルって、住宅のスケール感からは大きくかけ離れてるんですよね。窓は大きいですし、天井も高い。柱も、一般的な住宅よりも非常に太いです。

そこに「人が暮らすための場所」をつくるだけでも、どこか違和感があるような空間になってしまいます。でもネガティブに捉えるのではなく、むしろその「違和感」をベースに組み立てていきました。

ちょっとした違和感を残すことで、いつも見落としてしまうような変化にも気づきやすくなる。そのような思想で空間をデザインしました。

壁の一部には、光が照らされることで陰影が浮かび上がる素材を使用。光の表情に、少し気づきやすくなるよう工夫されています。

建物の違和感を起点に、空間をデザインしていく

高垣さん: たとえば、どう考えても部屋の真ん中にきてしまうような大きな柱があるんです。でも逆手に取ってみると、リビングスペースとキッチン、水回りとをゆるやかに分けてくれる存在でもあります。

奥側がゆったり過ごせるスペース、手前側がキッチンや水回り。
柱を起点に、ゆるやかに空間を分けるよう設計しました

高垣さん: 空間の広がりを確保しつつも、各エリアの違いをそれとなく伝える役割を持たせています。部屋の中心的な存在として、きちんと活かせる方法を考えましたね。

またこのホテルでは、寝室の角をなるべく取っているんです。両側からスライド式の扉が出てきて、直角で当たるようになっています。寝室の入口が壁で塞がれず、少しオープンになっている構造です。

高垣さん: 扉が開いている間はリビングとつながっていて、リビングが「中央の広場」のような場所になる。でも扉を閉めれば、それぞれのプライベート空間に戻れます。

家族や友人同士で泊まっても、みんなで集まる時間と1人で落ち着く時間の両方を心地よく楽しめると思います。

高垣さん: さらに、ワンフロアを半分に割って客室をつくったことで、窓からの光の入り方が正反対な部屋が生まれました。一方は窓が大きくて明るい部屋なんですが、もう一方は入り口から窓が見えず、奥側にある寝室から光が入ってくるちょっと暗めの部屋なんです。

6階フロアの間取り図。下側の部屋には大きな窓がついていますが、上側の部屋には寝室にのみ窓がついています。

高垣さん: 私は、大きな窓がない暗めの部屋のほうが「京都らしいな」と思っています。京都の町家って、さんさんと光が降り注ぐというよりは、落ち着いた光の中で静けさや陰影を感じるような場所が多いと思ったんです。

高垣さん: 細い路地のお店があったり、昔ながらの町家がこじんまりと並んでいたり。盛大な太陽光に照らされるよりも、室内の優しい明かりで落ち着いて過ごすイメージが強いと思います。

高垣さん: その「薄暗さ」があるおかげで「この奥にもまだずっと場所が広がっているんじゃないか」と感じられる空間が出来上がるんです。ホテルの部屋でも、寝室の窓からほどよく光が入ってくることで、リビングや部屋全体に奥行きが生まれます。

閉鎖的で暗い部屋ではなく、むしろ広さを感じ、落ち着きつつ解放感も静かに味わえる部屋ができました。

光の入り方を設計することで、空間に立体感が生まれました。曲面の壁が、部屋の奥行き感を作り出しています。

京都らしさを押し付けない。引き算の思想で空間をデザイン

――ロビーや共用部も、わかりやすく和風の装飾を散りばめるのではなく、どこかほどよく京都らしさを感じるなと思いました。

高垣さん: 実は改修する前から、障子や木のルーバーなど、和風の要素が取り入れられていたんです。それを見て、個人的には「もうこれ以上は和風にしなくていいな」と思いました。

高垣さん: そのため、元々あった障子はそのまま生かしつつ、和風のデザインをむしろ引き算しました。和風な雰囲気を押し付けるのではなく、京都のホテルに来たことをよりさりげなく感じられる空間にできたらなと考えました。

ラウンジエリアの障子

高垣さん: ホテルが建っている場所は、観光地にも近いエリアです。そのため京都らしさを過度にアピールするよりも、むしろ控えめにしたほうが「goodroom hotel 京都」らしい空気感を演出できると思いました。

観光する京都だけでなく、暮らしが根づいた京都も楽しんでほしい

―― ホテルのコンセプトや設計についてお伺いしてみて、これまでにない滞在ができそうだなと改めて思いました。

小倉さん: 今回は狭い部屋でも40平米、広いところだと100平米くらいの、広めのお部屋をつくりました。1人で来るだけでなく、友人グループやご家族で一緒に来て、みんなで過ごす場所として使ってもらいたいですね。

それに、観光地としての京都だけでなく、もっと違う側面の京都も感じられる場所にしたいという思いもあります。

小倉さん: 私自身もよく京都に行くのですが、観光地だけでなく、人の暮らしの息遣いが感じられる街並みも好きなんです。観光地とはまた違った空気感を味わえます。

観光地としての京都だけでなく、暮らしが根づいた京都。そのふたつが溶け合う場所として、滞在を楽しんでもらえたらなと思います。

三宅  

 

織田諒

織田諒

編集アシスタント。写真も動画も撮るのが好き。愛機はFujifilm。革のものと古いものが好き。論文を漁り回るのが趣味。

シェア
日常生活の先にある、ちょっと特別な時間。goodroom hotel 京都のこだわりを聞いてみました
この記事を気に入ったら
いいね!しよう
twitterで購読

関連記事

軽やかに暮らす人 Vol.33 [PR]

「節約する」をやめて、「増やす」ことを意識したら、世界はもっと広がりました

軽やかに暮らす人を紹介していく連載。今回話を聞いたのは、日本に来て10年になる台湾出身のミホさん。日本と台湾を行き来するだけでなく、視野を広げるために年に1度は必ず、世界のどこかへ旅をしているのだそう。ミホさんのような軽やかな暮らし方を送る秘訣を聞いてみました。…

軽やかな暮らしのヒント Vol.150

東京、「ときどき関西」暮らし。大阪・京都でのホテル・コリビング暮らし体験談3選

ふだんの活動拠点は関東におきながら、たまにはがらりと環境を変えて、大阪や京都、奈良で暮らしてみる。ホテル・コリビングレジデンスのサブスク「goodroom サブスくらし」なら、そんな暮らしかたも可能です。「関西暮らし」を体験した3名に、暮らしの中で感じたことを聞きました。…

軽やかに暮らす人 Vol.53

「ずっと同じ場所に住む」をやめて、住みながら「暮らしたい街」を探す。一人暮らしフリーランスの、定住しない暮らしのかたち

住んでみないと分からないことが、街にはたくさんあります。harukaさんは固定の家を持たずに住み替えながら、「ここなら暮らせそう」という感覚を集めてきました。goodroom residenceとホテルを行き来する、一人暮らしフリーランスの暮らしの話です。…

軽やかな暮らしのはじめ方 Vol.122

アクセス性に妥協せず、部屋でも街でもゆったり過ごせる。「ブラケッツホテル大阪本町」宿泊レビュー

大阪の二大繁華街までそれぞれ2駅と、アクセスに優れているにも関わらず、ゆったりと過ごせる「ブラケッツホテル大阪本町」。どのような場所で、どんな生活ができるのか。ホテル内の様子や周囲の街についてお伝えします。…

軽やかに暮らす人 Vol.51

「休みを取れない自分」をやめて「1か月休む」を習慣に。ホテル長期滞在という選択が、働き方を軽くする

気づけば予定が埋まり、休むことに少し罪悪感を覚えてしまう日々。そんな暮らしをふっとほどくように、毎年1か月の長期滞在を続けているのが、台湾から訪れたchenさんです。国を移動しながら働く量を絞り、心を整えるための余白をつくる。東京でのロングステイでは、観光も仕事もゆったりと。その生き方には、忙しさの中で忘れがちな “自分を取り戻す時間” がありました。…

軽やかな暮らしのはじめ方 [PR]

「持たない暮らし」だからこそ、睡眠環境にはこだわりたい。 Sleepy Tofu のマットレスが、goodroom residence 渋谷道玄坂 VILLAGE に導入されました!

「持たない暮らし」の人にこそ、「居心地のよさ」を担保できる空間を提供したい。グッドルームが運営するライフスタイルレジデンス「goodroom residence」で導入した、台湾発のブランド「Sleepy Tofu」のマットレス。ホテル暮らし女子が実際に泊まって、その良さをレポートします。…

spacegray
main_copy
sub_copy
goodroom