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築48年、「好き」を少しずつ言葉にする暮らし。一人暮らしの1LDKインテリア

私らしく暮らす。 Vol.495

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築48年、「好き」を少しずつ言葉にする暮らし。一人暮らしの1LDKインテリア

暖色の灯りと、ゆっくりと立ちのぼるお香の香り。都内のマンションの一室には、システムエンジニアのTATSUKIさんが、時間をかけて整えてきた一人暮らしの景色が広がっています。もとからインテリアが好きだったわけではない、と話すTATSUKIさん。学生時代のある出来事をきっかけに、自分の「好き」を少しずつ手繰り寄せ、言葉にしてきました。今回は、この部屋に流れる時間と、その心地よさを支える工夫やアイテムを伺います。

text & photo : Tsubottle

「好き」の見つけ方は、画面の中から

TATSUKIさんがインテリアに惹かれ始めたのは、大学3年生の頃。世の中が一斉に家にこもった、あの時期でした。

「コロナで時間ができて、ずっとYouTubeを見ていたんです。そのなかでルームツアー動画に出会って、一気に引き込まれました」

いろいろな部屋を眺めるうちに、自分が惹かれるのは「暖色系」で、少し「味のある」もの。きれいすぎず、どこか時間を感じさせる佇まいだと気づいていったといいます。

「すごくモダンできれいなものより、ちょっと味のあるもののほうが好きで。理由はうまく言えないんですけど、見たときに直感的に惹かれるんです」
部屋づくりの手順にも、TATSUKIさんなりの型があります。まず「この人みたいにしたい」と思える部屋を見つけて、空間のコンセプトを固める。次にソファやデスクといった大きな家具を決め、最後に小物で微調整するという順番です。
最初から全部を買い揃えるのではなく、手持ちのものを使いながら、少しずつ「好き」に合うものへと入れ替えてきました。
この“コンセプト先行・大物から・入れ替え式”という進め方は、何から手をつければいいか分からない人にも取り入れやすい方法。理想の一枚を見つけることが、部屋づくりの最初の一歩になるのです。
そうして探し続けた大物のひとつが、Acme Furnitureのラウンジチェア「MADISON LOUNGE CHAIR」でした。

どこにも在庫がなく、あきらめかけた頃にガレージセールで運命的に再会。憧れた画面の向こうの景色は、こうして少しずつ、現実の部屋になっていきました。

灯りと“隠す”で切り替える、働く部屋

在宅で働くTATSUKIさんにとって、この部屋は仕事場でもあります。同じ空間でオンとオフを行き来する一日は、ともすれば境目が曖昧になりがち。その切り替えを支えているのが、デスクまわりの整え方と、灯り、そして“隠す”仕組みでした。

仕事の拠点は、Want Antique で出会った60年代ハンガリー製のヴィンテージデスク。華奢な脚の美しさと、補修跡も味わいになった風合いが気に入っている一台です。集中できるよう、天板の上はできるだけ物を置かず、すっきりと保つのがマイルール。

「仕事をする場所なので、ごちゃごちゃしないようにしていて。ここにいれば集中できる、という状態にしています」
引き出しの中には、PCの周辺機器をひとまとめに。使うときだけ取り出し、終わればさっとしまう。デスクの上を「何もない状態」に戻せる仕組みをつくっておくことで、仕事の始まりと終わりに、小さな区切りが生まれます。
もうひとつの立役者が、Loft Mansionのウッドカーブパーテーションです。曲線の形を自由に変えられる衝立で、インスタの広告で見つけたもの。空間をゆるやかに仕切りながら、その裏側は、生活感の出るものの「隠し場所」になっています。

「裏に、あまり使わない椅子や冬の加湿器を置いていて。言われないと分からないくらい、自然に隠せるのが気に入っています」

備え付けの収納がいっぱいになったら、しまい込むのではなく、美しい衝立の裏へ逃がす。視界から生活感が消えるだけで、仕事中の集中も、くつろぎの時間の心地よさも、ぐっと深まります。収納が少ない部屋に住む人ほど、真似しやすいアイデアです。

そして、灯り。TATSUKIさんは天井の照明をほとんど使わず、間接照明の暖色の光を部屋の数カ所に散らして灯しています。「日中もあえて間接照明で過ごすことが多くて。穏やかな気持ちでいられるように、この部屋をつくっています」
ひとつの強い光で照らすのではなく、小さな灯りをいくつも重ねる。それだけで空間に陰影が生まれ、同じ部屋でも表情はぐっと深くなります。空間に静けさを添えるのは、emotional vintage で出会った天然石のお香立て。もともと灰皿として作られたもので、燃え尽きた灰をそのまま溜めておけるのもポイントです。

「煙の匂いが少し混じる感じが好きで。灰が溜まって埋もれていくのも、かえって様になるんです」

集中したいときはデスクへ、心をほどきたいときは灯りと香りのそばへ。場所と光を切り替えることで、ひとつの部屋のなかに、いくつもの時間を持たせているのです。

光の少ない部屋で、植物と心地よく暮らす

TATSUKIさんがインテリアの世界に足を踏み入れるきっかけとなったのは、一鉢の観葉植物でした。いまも部屋のあちこちで、緑が暮らしにそっと寄り添っています。

ただ、この部屋には小さな悩みも。ベランダの奥行きの影響で、日が深く差し込むのは冬のあいだだけなのです。光を好む植物にとっては、なかなか手強い環境でもあります。

そこでTATSUKIさんは、植物をできるだけ窓辺に寄せて配置。光の入り方を見ながら、元気のない鉢は明るい場所へと、少しずつ置き場所を入れ替えています。 「日が入りにくいぶん、なるべく窓の近くに寄せて。様子を見ながら、場所を動かしています」
シンボルツリーは、幹立ちの大きなモンステラ。園芸店の閉店セールで、好みの樹形のものに出会って迎え入れました。数をむやみに増やさず、手をかけきれる範囲で大きな一鉢を“主役”に据えることで、世話の負担を抑えつつ、空間にはしっかりと存在感が生まれます。

「大きい鉢は動かすのも大変なので、これ以上は増やさないつもりです。管理できる範囲で、と思っていて」

小さな鉢をたくさん並べるより、まず一鉢と丁寧に向き合う。日当たりや置き場所に悩む人ほど、大鉢主役のスタイルは取り入れやすいはずです。役目を終えた鉢や出番の減った道具は、ベランダを“外の物置”として活用してひとまず退避。完璧を目指しすぎない、そんなゆるさも長続きの秘訣かもしれません。

光が足りない日は、その分だけ丁寧に向き合う。植物との暮らしは、部屋そのものと同じように、少しずつ手をかけて育てていくものなのかもしれません。

流行や誰かの正解に合わせるのではなく、自分が「いいな」と思えるものを、少しずつ言葉にして集めていく。TATSUKIさんの部屋には、そんな等身大の積み重ねが、暖色の灯りとともに満ちていました。

TATSUKIさんのInstagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/tatsuki.heic/

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Tsubottle(つぼとる)

Tsubottle(つぼとる)

福岡県出身。アメリカはポートランドで写真を始め、京都・東京・福岡を中心に全国へ素敵な住まいと人の物語を記録と記憶に残しながら旅をする写真家。あなたのお住まいにもぜひ。コーヒー、ビール、美味しいご飯があれば、どんな場所でも幸せに暮らせるタイプです。
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