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「フォークソングを聴きながらさ」 大田区 雑色

こんな町に住みたいんだ。 Vol.13

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「フォークソングを聴きながらさ」 大田区 雑色

町歩き愛好家が本当に住みたい町をジワジワと紹介していきます。第13回目に取り上げるのは大田区の雑色。フォークソングを聴きながら歩きたくなる、下町情緒たっぷりの町です。

text : 渡辺平日

こんにちは、日用品&町歩き愛好家の渡辺平日です。この連載では、個人的に好きな町や住みたい町を、商店街を中心にじっくりと這うように案内しています。

今回は大田区の雑色(ぞうしき)を散策しました。八丁綴や梅屋敷など一風変わった駅名が多い京浜急行電鉄本線のなかでも、ひときわユニークな名前となっています。ちなみに「雑色」とは「宮中で雑務を行っていた役職」を指します。かつてこの地に雑色が多く暮らしていたことが、地名の由来になったと伝わっています。

交通利便性◎ オンにもオフにもバッチリ対応します

先ほども軽く触れましたが、雑色駅には浦賀駅と泉岳寺駅を結ぶ京浜急行電鉄本線が乗り入れています。ターミナルステーションの品川駅まで約13分、横浜駅までも約13分でアクセスでき、とっても便利です。

羽田空港まで約24分というのも嬉しいですね。旅行や出張のときも楽々移動できます。

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ホームから巨大なOKストアのビルが見えます。調べてみると大きいのも納得、オーケー株式会社の元本社ビルでした(現在、本社はみなとみらいに移転)。昔から住んでいる知人によると、昔はボーリング場が入っていたそうです。

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それでは町歩きスタート。気温は18度、散策するのに最高の天候です。

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駅前は整然としています。ボランティアの方に話を聞いたところ、かつてこの場所に改札や券売機などがあったそうです(「このあたりで切符を買ってたんだよ」と身振りを交えて説明してくれました。親切にありがとうございます)。

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「ぞうしき」だから「ぞう」のマスコットキャラ。調べた限りでは名前は無いようです。けっこういいデザインなので、ちょっともったいないなあ。人形とかキーホルダーとかにしたら人気が出る気がします。

雑色名物の「超分かりにくいOKストアの入り口」です。これ、引っ越してきたばかりの人は気づかないかも……(ちなみに、大通り沿いにちゃんとした入り口があります)。

雑色名物の「超分かりにくいOKストアの入り口」です。これ、引っ越してきたばかりの人は気づかないかも……(ちなみに、大通り沿いにちゃんとした入り口があります)。

味のある商店街を散策しました

この雰囲気、最高ですねえ。1948年に誕生した商店街で、加盟店数は約200。元気な商店街が多い大田区でも最大級の規模を誇っています。

この雰囲気、最高ですねえ。1948年に誕生した商店街で、加盟店数は約200。元気な商店街が多い大田区でも最大級の規模を誇っています。春には「さくらまつり」、夏には「サマーフェスティバル」が行われるなど、イベントも数多く開催されています。

レトロな洋服屋。「あったか肌着あります」「おしゃれに帽子」など、ポップのセンスが光ります。

レトロな洋服屋。「あったか肌着あります」、「おしゃれに帽子」など、ポップのセンスが光ります。

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その向かいにはこれまた渋い毛糸店が。駅周辺はチェーン店が多めですが、昔ながらの店舗もしっかり残っています。

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精肉店と洋食屋が一緒になった夢のようなお店。精肉店がやっているだけあって、安くてうまいです。お酒やおつまみもけっこう充実しているので、居酒屋っぽく利用するのも良さそう。

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大通りだけでも十分に魅力的ですが、一本路地に入ると更にディープな雰囲気に……。「雑色ゴールデン街」と呼ぶ方もいるのだとか。

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「小説家の書斎」というバーを発見。調べたところ、小説家のマスターが運営しているそうです。気になる……。

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大通りをしばらく歩くとアーケードが無くなります。このあたりを境に下町感がさらに増していきます。

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とにかくですね、精肉店と惣菜店が多いのが特徴です。ざっと数えただけでも15店舗以上はあります。

どのお店もとにかくリーズナブル! はじめての一人暮らしでも安心して暮らせそうです。

どのお店もとにかくリーズナブル! はじめての一人暮らしでも安心して暮らせそうです。

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こちらは焼売が有名な惣菜店「いのせ」。次々にお客さんが訪れています。

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こちらも有名店の「竹沢商店」。おいしい焼き鳥やもつ煮込みをその場で食べることができます。それにしても、平日の昼下がりだというのにどの店も繁盛していますね。

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飲食系だけではなく、日用品を扱う店舗も充実しています。これはちょっとレアな100円ショップ。

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薬局やコンビニなどもしっかり揃っています。

昔気質の時計屋さんに立ち寄りました

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商店街の途中で実にレトロな時計店を発見。

(何年ぐらい前から営業しているんだろう……)などと考えているとき、ふと、腕時計が壊れていることを思い出しました。特殊な部品が破損していて、どこへ持っていっても修理を断られて困っていたのですが、もしかしたらここなら直せるかも。

お店の中に入ると、黙々と時計の修理をしているおじいさんがひとり。勇気を出して話しかけると……。

「うん、これはちょっと変わったパーツを使ってるな。たぶんうちでも取り扱ってないねえ」

(ああ、ここでもダメだったか)と思いつつ、「なんとなりませんかね?」と僕は尋ねました。

するとおじいさんは「いまあるパーツを加工したら、直せると思うよ。2mmぐらい削ってね。30分くらい待てる?」と、ことも無げに言いました。僕が「直してください」とお願いしたのは言うまでもありません。

本場仕込みの小籠包に舌鼓!

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修理を待っている間に昼食を食べることに。おや、このお店は前に来たときにはなかったぞ。

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持ち帰りもできるようですが、せっかくなのでイートインすることに。花模様の食器が可愛いですねえ。

持ち帰りもできるようですが、せっかくなのでイートインすることに。花模様の食器が可愛いですねえ。

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待つこと約10分。ドキドキの瞬間が訪れました。

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ヒエ~! 大歓喜です。そのままでもおいしくいただけますが、薬味で味を変えながら食べるのもなかなか乙でしたよ。

今年の10月にオープンしたばかりで、上海で修行した女将さんが心を込めて手作りしているそうです。寒くなるこれからの季節、こういうお店が近所にあると嬉しいですねえ。

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食事後に時計屋を再訪。腕時計はバッチリ直っていました。うーむ。個人商店、最高……。

商店街を通り抜け、多摩川までお散歩しました

さて、ここでグルっと方向転換。雑色駅から更に歩いて「六郷橋緑地」を見に行きます。

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「水門通り商店街」を通って緑地まで向かいました。雑色商店街と比べると落ち着いていますが、個人的にはこちらのまったりとした雰囲気が好きです。なんというか、フォークソングを聴きながらのんびり歩きたくなります。

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地元密着型の鮮魚店。そういえば、店頭で最新号の少年週刊ジャンプを販売している鮮魚店を発見してビックリしました。(どちらも鮮度が大事だし……そうおかしくはないか?)などと深く考え込んでしまいました。

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看板が超キュートな食料品&青果店。

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いい雰囲気の喫茶店もあります。コーヒーがなんと一杯290円! 気軽に飲みにこれますね。

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おや、あれは……?

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どことなくアメリカンな雰囲気の銭湯を発見。このエリアは銭湯が非常に多く、駅周辺だけでも5店舗以上もあります。お風呂好きな方にとっては天国みたいな環境ですね。

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昔ながらの個人店多し。常連になりたいところです。

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しばらく歩くと緑地が見えてきます。

川を眺めてリラックス

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六郷緑地に到着しました。多摩川沿いに整備された緑地で、住民の憩いの場になっています。野球場やサッカー場もあり、休日はスポーツやレジャーを楽しむ人たちで賑わいます。

船がたくさん停まっています。近くに舟宿(屋形船や釣り船屋をレンタルを生業とする店舗)があり、ここから東京湾などに出船しているそうです。

船がたくさん停まっています。近くに舟宿(屋形船や釣り船屋の賃貸を行う店舗)があり、ここから東京湾などに出船しているそうです。

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多摩川をしばらくぼんやりと眺める。奥に見えているのは大師橋ですかね。

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河川敷には先日の台風の傷跡が残っていました。……川が近くにあるのって、良いことばかりではないですよね。それでも、川は良いなあと、しみじみ感じました。

ぼんやりしていたら日が暮れてきたので取材終了。川ってどれだけ見ていても飽きないですね。近くに住んでいたらちょくちょく遊びに来たいな。さて、続いてはお部屋紹介のコーナーです。

小窓から朝陽が差し込むお部屋(1K/18㎡/6万円)

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小窓がふたつあって、朝になると爽やかな光が差し込むそうです。基本的な設備をまずまず揃っているし、このお部屋なら安心して新生活をはじめられそうですよ。

 

カウンターキッチンが自慢! ゆったり1LDK(1LDK/39.37㎡/10.8万円)

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3口コンロ&グリルを装備したカウンターキッチンが自慢のお部屋。商店街で新鮮な素材を買ってきて、自炊を楽しみたいなあ。

 

さいごに

なんといっても商店街が最高ですね。元気な個人経営店がたくさんあって、お喋りを楽しみながらお買い物できそうです。近くにしっかりした緑地があるのも嬉しい。ちょっと気分転換したいときや運動したいときはお世話になりそうです。

お休みの日は、フォークソングを聴きながらのんびりお散歩して、銭湯で汗を流して、お惣菜を買って帰る。……この町で、そんな生活を送ってみませんか?

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渡辺

渡辺平日

渡辺平日

日用品愛好者。常に異常な物欲と戦っています。町歩きやお部屋探しも好きで、ふと気がついたらグッドルームの取材ライターになっていました。主な寄稿先は「LaLa Begin」「北欧、暮らしの道具店」「PERFECT DAY」など。

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