Cool+Cute=?
1R(30.1㎡)
町歩き愛好家が本当に住みたい町をジワジワと紹介していきます。第3回目に取り上げるのは西東京市のひばりが丘。ずっと残していきたくなる風景がそこにはありました。
text : 渡辺平日
こんにちは、日用品&町歩き愛好家の渡辺平日です。この連載では、個人的に好きな町や住みたい町を、商店街を中心にじっくりと這うように案内しています。
今回取り上げるのは西東京市のひばりが丘。物の本によると、かつてひばりが数多く生息していたことが地名の由来になったのだとか。
さあ町歩き開始です。ちなみに、町の名前は〈ひばりが丘〉ですが、駅名は〈ひばりヶ丘〉となっています。
いきなり現実的な話になってしまって恐縮ですが、住むお部屋を決めるとき、職場への移動時間は最重要ポイントになりますよね。今回案内するひばりが丘の交通事情はどうでしょうか?
駅は整然とした雰囲気でした。
ひばりが丘に住んでいる友人曰く、「近年、駅構内のバリアフリー化が進み、利便性も向上している」とのこと。
ひばりヶ丘駅では西武池袋線が利用可能。西武池袋線は副都心線や東急東横線、みなとみらい線など様々な路線に乗り入れているため、新宿や渋谷などの主要都市へ最短30分程度でアクセスできます。また、一時間程度かかりますが、横浜方面にも乗り換え無しで行けますので、お休みの日は中華街へお出かけというのも良さそうですよ。
交通利便性はまずまずといったところ。さて、次に気になるのは町の様子ではないでしょうか。ひばりが丘は駅周辺がかなり盛り上がっているので、まずはその辺りを散策してみます。
駅から出るとすぐに西友。普段のお買い物は安泰ですね。
西友の反対側にはPARCOもあります。こちらには無印良品やABCマートなど専門店が揃っています。
団地を中心に発展したという経緯もあり、バス路線も発達しています。友人曰く、「東西の移動には鉄道を、南北の移動にはバスを使うと便利」とのこと。
このままフラッとバスに乗り込みたいという衝動を抑え、取材を続けます。
駅周辺だけを見ると完全に〈街〉でしたね。普段のお買い物には不便しそうにありません。しかし、これはひばりが丘のほんの一面に過ぎません。次は、僕が好きな北口側を案内します。
北口側の商店街。レトロな雰囲気が残っています。
入り口付近は普通の繁華街という感じですが、進むほどに個人店が目立ってきます。ほら、良さそうなお店がありましたよ。
かなり渋いお茶屋もありました。お菓子屋とセットで常連になりたいところ。
子どもが「お団子食べたいなあ!」と言っていたので(団子屋があるのかな?)と思っていたら本当にありました。手前にある惣菜屋も美味しそうです。
入り口から5分くらい歩くとかなり静かに。住むならこの辺りが良さそうですよ。
昔ながらの青果店と、新しいスーパーが並びあっています。青果店の前ではお母さんたちが「それを酢で煮てね……」などと楽しそうにお喋りしていました。
もうひとつ青果店を発見。ちなみに、西東京市は面積の約10%が田畑と、農業が非常に盛んな地域。そのおかげで、地場産の野菜を安く買い求めることができます。
老舗の喫茶店があると聞いて向かってみましたが、なんと、残念ながら閉店していました……。ほぼ下調べ無しで取材に来ているので、他のお店の候補もありません。
そんなとき、非常にいい感じの精肉店を発見。ここでなにか買って、食べ歩きでもしようかな……。
なんだか懐かしい雰囲気。実家の近くにあったお店にそっくりです。カウンターの向こうではお母さんが忙しそうに働いていました。
照明がナイス・レトロ。
おっ、やっぱりテイクアウトできるようですね。悩みに悩んでハムカツとカニクリームを注文。
〈ごちそうとんかつ〉という響きが実に甘美。
(ひょっとしてイートインもできるのかな?)と思ってお母さんに尋ねたところ、「お酒を飲まなかったら大丈夫よ」とのこと。
席について数分後、注文したカツとフライが完成。なにもかけなくても、そのままで美味しい。野山を駆け巡っていた少年時代を思いだすような、そんな懐かしい味がしました。
後ろを振り返るとガランとしたスペースが。「ここはもともとはスーパーでね、昔は八百屋とか魚屋とかがあって。前の通りにはいつも人がいっぱいでね。……いい時代だったんだよ」と、お母さんが在りし日の様子を教えてくれました。
軽く買い物をするつもりだったのに、すっかり話し込んでしまいました。これが無計画な町歩きの醍醐味だったりします。会話の中で、このお店の歴史も教えてもらいました。この精肉店ができたのは今から約半世紀前。それからずっと、この地域の台所を支えてきたそうです。三代で通っている常連さんもいて、住民に愛されているお店なんだなあと感じました。そして、(ずっと、この風景が残っていけばいいのに)と、心から思いました。
「お兄さんと出会えてよかったよ。お店も長く続けるものね。また、この町に来てね」
お店を出るとき、お母さんが笑顔でそう言いました。うまく言葉にできませんが、なにか大事なものを受け取ったような、そんな気がします。
お土産で肉まんを購入。「お兄さんは力持ち? そう。なら、いちばん大きいやつを持って帰りなよ」
すっかりお腹が膨れたところで、ちょっと寄り道することにしましょう。駅の近くにちょっと面白い図書館があるので、ぜひ紹介させてください。
こちらが駅から徒歩数分のところにあるひばりが丘図書館です。一見普通に見えますが……
なんと、上のフロアは居住スペースになっています。一体どういう経緯でこうなったのかが気になります。こんど、精肉店のお母さんに聞いてみようかな。
その近くにはこれまた雰囲気のいい公園が。
図書館で本を借りて、公園でゆっくり読書するのも良さそうですね。さてさて、ひばりが丘の良いところをしっかりお伝えできたかと思いますので、お楽しみのお部屋紹介コーナーに移らせていただきます。
木の魅力を堪能できるお部屋。造作のキッチンが本当にツボです。住んでみたいなあ。
カウンターキッチンが自慢のお部屋です。行きつけのお店で食材を揃えて、週末はご馳走に挑戦したいな。
賃貸で住める輸入住宅。家族で過ごす週末が待ち遠しくなりそうです。
……取材が終わったあと、精肉店のお母さんから「受け取ったもの」について思いを巡らせました。
もしかしたらそれは「バトン」のようなものかもしれません。時代の流れとともに町は移ろい、その風景はどんどん変わっていきます。誰にもそれを止めることはできません。でも、次の世代にバトンを託すことはできます。それを渡す人がいて、それを受け取る人がいる限り、町がどれだけ変わっても大切なものは残り続ける。少なくとも僕はそう信じています。
残したい風景があるこの町で、バトンを受け取ってみませんか?
渡辺平日
渡辺平日
日用品愛好者。常に異常な物欲と戦っています。町歩きやお部屋探しも好きで、ふと気がついたらグッドルームの取材ライターになっていました。主な寄稿先は「LaLa Begin」「北欧、暮らしの道具店」「PERFECT DAY」など。