鳥取の“かわいい”と“美味しい”を見つけに行こう!-中目黒「CO-TORI」開催
あなたが“鳥取”に対して持っているイメージは、どんなものでしょう?もしひとつもないのであれば、それはチャンスかもしれません。まだまだ知らない日本の魅力を体験しに、さっそく出かけてみませんか。…
今年9月、「4000万曲以上の楽曲を聞き放題」というユーザー数世界一の無料音楽配信サービス「Spotify(スポティファイ)」がついに日本初上陸した。LINE MUSIC、AWA、Apple Musicに続き、このアプリ参入で、日本のストリーミング音楽人口はますます拡大傾向。さらに超高品質のハイレゾ音源の配信も続々と始まり、もう音楽シーンはデジタル音源のスマホで充分。ところが、時代に逆行するように、アナログ・レコード売り上げが欧米、日本ともに増え続け、さらにミュージックテープも注目されているのだ。これはどういうことなのだろう? そこで、アナログ・レコード、カセットテープのそれぞれ専門店・店長お二人にお話を伺った。
(text : Ako Tsuchihara / photo : Kayoko Aoki)
「それ何?」という10代、「見たことはある」という20〜30代。「がっつり知っている」という40代〜50代以降。世代によって答えは違うだろうが、多くの人は「昭和の音楽メディアで、今はプレーヤーもないし、不要なモノ」と思っているだろう。
しかし、今回、カセットテープ専門店「Waltz(ワルツ)」(東京・中目黒)を訪れて、ショックを受けた。まず、今もなお新譜のミュージックテープがたくさんあるということ。ずらりと並んだカセットテープの美しさ。そして、その柔らかな音を聞かせてもらって、正直、鳥肌が立った。
昨年10月、中目黒の駅から徒歩10分あまりの住宅地の一角に、「Waltz(ワルツ)」はオープンした。「ストリーミング音楽元年」といわれた2015年。まるで逆行するかのようにアナログ・カセットテープ専門店を、である。代表の角田太郎さんは、アマゾン・ジャパンの初期メンバーであり、店を開く数ヶ月前までは、IT界の中心にいた方、なんだか、とっても面白そう。
「敢えて真逆のことをやりたかったんです。アマゾンにはできないこと、そして自分しかできないこと、誰もやっていないことを世の中でプレゼンテーションしようと思いました。それがカセットテープ専門店という非ITビジネスだった」という角田さん。
確かに、こんなお店は日本中、いや、世界中探してもどこにもない。オープン以来、国内外問わず、取材が絶えないというのも頷ける。
「僕は昔からカセットテープが大好きで、海外に行くたびに買い集めていましたが、世界レベルで見ると、今もミュージックテープは相変らずリリースされていますし、むしろ欧米を中心に増えています。これは世の中がデジタル化され過ぎたことへの反動だと言えるでしょう」
その理由の1つに、デジタル音楽の無形化である。聴き手も作り手も、形のない音楽に物足りなさを感じているのだと言う。
「そもそも、音楽は、形があるモノです。目で見て、触って、その質感を楽しみながら音を聴くからいいんです。アナログ・レコードのジャケ写や手のひらサイズのミュージックテープの写真を見て曲を想像し、心が躍る。だから、音楽好きは、形ある美しいレコードや可愛らしいカセットテープに対して注目し、寄り戻し現象が起きているんです」
また、デジタル音楽は、スキップやシャッフルが一瞬でできるが、カセットテープは一切できない。停めたら、そこに留まり、再生したら、そこから続きが流れてくる。
「つまり、最初から最後まで聴くんです。アルバムなら、作り手の考え抜いた楽曲の順番、ストーリーを聴き手がちゃんと受け取る。だから、ミュージックテープは、どちらの人にとっても深い満足感があるんです」
ミュージックテープのリリースが増えている理由は他にもある。アナログ・レコードの生産もここ数年増え続けているが、実はプレスする工場が少ないため、時間もかかるし、コストもかかる。それに比べるとミュージクテープは比較的、早く、安価に作ることができるので、より生産数が増える。そこに角田さんは注目したのである。
「作り手である音楽関係者の多くは、そもそもアーティストです。見た目のデザイン、アルバムのストーリー、音質などすべてにこだわります。だからこそ、業界全体がミュージックテープの価値に注目しているんです」
カセットテープの音質について、音楽関係者も注目しているという角田さんの言葉を聞いて、正直、驚いた。「音がよくないというイメージがあるんですが」と聞くと、
「よくそういう質問を受けます。とくに昔のカセットカルチャーを知っている人に多い質問です。
まず、大事なことが2点あります。1つは、プレーヤーの問題。レコードを良いスピーカーで聞くと良い音が響くのと同じで、カセットテープも良いカセットデッキで聴けば(良いスピーカーが付いているので)良い音が響きます」
とくに1980年代のソニー、シャープ、ナショナルは、世界レベルの素晴らしいカセットデッキを作っていた。そのデッキで聴かせてもらうと、確かに、音が良くないなんて全く思わない。むしろ、まろやかで重みがある優しい音に聞こえる。
1980年代のソニー、シャープ、ナショナルが販売していたカセットデッキ(上)と、1980年代に流行したカセットテープレコーダーのSONY「ウォークマン」(下)。こちらではリペアして販売している。
「もう1つは、カセットの音のイメージが悪いのは、昔のカセットカルチャーのイメージがあるからです。1980年代、カセットは、音楽を聴くメディアというよりむしろ録音メディアだった。レコードの音源からカセットテープにコピーして聞くという使い方が中心だったので、どうしても音質が悪くなる。そういう経験をしてきた人は、カセットテープの音質は劣っているという記憶があるのです。しかし、今のカセットカルチャーは、録音メディアではなくミュージックテープです。つまりカセットテープ自体が音源。音質が悪いなんてことは全くありません」
さらに、カセットテープの音の魅力について、角田さんはこう付け加えた。
なぜ、みんな音楽メディア同士を比較したがるのか不思議だと‥‥。
CDやハイレゾといったデジタルの音については、情報量という尺度を用いて、音の太さ、繊細さ、音域、など原音の「再現性やクリアさ」で評価をする。しかし、それらとアナログ・メディアを比較することがそもそも変だと言うのだ。
「音の評価はクリアさだけではないと思うんです。カセットテープの音の良さは、柔らかさや丸み、中音域の厚みなどいろいろとあリます。ここを訪れる若い方は、純粋にカセットテープの音を聞き、新しい音のメディアだと感じてくれますよ」
なるほど、アナログ・カセットカルチャーは、レトロや回帰ではなく、もしかしたら全く新しい音楽のカルチャームーブメントなのかもしれない。
帰り際、棚やデスクに飾られたミュージックテープを一層、可愛らしいと感じた。
上から、カナダのカルガリー出身の20歳ALEEM KHAN衝撃の傑作「Urbana Champaign」(ロック、ジャズ)、米マリンバ奏者JANE BOXALLの「Fields Notes」、ベルリンの3ピースバンドALRIGHT GANDHIの「Little Traveller」(アートロック)、米JON BAPの「let It Happen 」(ソウル)。ジャケットは自身による肖像画。
東京都目黒区中目黒4−15−5
03-5734-1017
OPEN 12:00~21:00
http://waltz-store.co.jp
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