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読み継がれる本の架け橋に。『CLARIS BOOKS(下北沢・東京)』

お気に入りの本屋を探そう Vol.3

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読み継がれる本の架け橋に。『CLARIS BOOKS(下北沢・東京)』

本も好きだけど、本屋はもっと好き。ずらりと並んだ本や雑誌の棚を眺めているだけでも刺激的だし、最近では、カフェを併設していたり、可愛い雑貨が売られていたり、面白そうなイベントを開催していたり、本屋で過ごす時間がどんどん楽しくなっている。そこで、2017年、あなたのお気に入りの本屋を見つけてみませんか。
(text : Ako Tsuchihara / photo : Kayoko Aoki)

読み継がれる本の架け橋に。

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街の古本屋は街が作る。

2013年12月1日、下北沢・一番商店街に開店し、ちょうど丸3年経った。
10坪の細長い空間には、壁に沿って大小の本棚が連なり、ぎっしりと本で埋めつくされている。文庫本に始まり、写真集、雑誌、映画・演劇関連、文学、哲学など様々なジャンルが並ぶが、そこには、ゆらゆらと波のようなリズムがあって心地いい。

「ちょっとは街の古本屋らしくなったかな……」と店主の高松徳雄さん。前職も古本屋。しかも古本街の神保町勤務だったというのに、なんだか控えめ。
「神保町は、いわば街自体が本屋のようなもの。私が働いていた頃は、店側がアピールしなくてもお客さんが集まってきて勝手に見てくれる。また、アートブックだけ、初版本だけといった特化してもいいけれど、ここではそうはいきません」

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どんな本も買取ります。

最初は、好きな哲学や文学に力を入れようと思っていた高松さんだが、「何かにこだわると来てくださるお客さんも、売ってくださるお客さんも偏ってしまう。それでは、街の古本屋は成り立たないんです。間口は広い方がいいと考え、どんな本でも買い取ることを信条にしました」

するとシモキタらしさが出てきた。「ここは、映画や演劇、音楽、写真、出版などクリエイティブ系の人やそういう趣味を持つ人が多く住む街。本を売る人、買う人の両方によって、店の色を少しずつ出てきたかなと思うんです」

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古本には同じ本がない。

本の買い方には、書店やネットなどの方法があるが、新刊本は全て同じ。
「でも、古本は、厳密に言えば全部違うものなんです。状態が違う。焼けていたり、傷みがあったり。サインがあったりして、値段も変わるし、同じものを5冊揃えたくても揃わない。つまり1点ものなんです。だから自ずと個性が出て来るんです」

またレッテル(値段表示)のつけ方、一つとっても違うという。
「昔ながらの古本屋はペタッと貼っていることが多い。だから、レッテルの上にレッテルが貼ってあったりして、古本が旅している証拠があったりして、それはそれで面白いけど、そういうところにも本屋の色が出るんです」

クラリスブックスのレッテルは、栞方式(写真)。そこに手書きで、タイトルと本の状態、値段を表示する。また、1冊ずつカバーシートをつけている本も多い。傷つかないように、焼けないように、価値をできるだけ下げないようにと、古本に愛情を注いでいることが伝わってくる。

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読み継がれる本の架け橋に。

また、古本の訪問買取りは面白いという。
「ある30代男性のお宅に買取りに伺うと、廊下一面に本棚が並んでいて、所々、面出しした洋書が飾られている。室内も美しくて、思わずギャラリーですかと聞いてしまうくらいでした。売る本も生活感がなくて、スタイリッシュ。他にも、旦那さんが亡くなったので本を引き取って欲しいという古いお宅に伺うと、これまたすごい蔵書なんです。綺麗に書庫に並べていて、ご主人は、こういう本を丁寧に読んだ人生だったんだなと、感慨深かった」

そして、彼らの本が、シモキタの小さな古本屋に並び、店の彩り、また誰かが買って、その人の人生に繋がっていく。

「私にとっていい本とは、本当に読まれる本、見られる本なんです。こうしたいい本を脈々と繋いでいく架け橋になれたらと思うんです」

高松徳雄さんのオススメの本

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1976年の平凡パンチの別冊「Men’s Catalog」3000円。アメリカ独立200周年の年、様々なカタログが発売された。こちらもその一つ。アウトドア、バイク、車、自転車、カメラ、時計、音楽、ジーンズなど男性の好きなものが全部集まっていて、編集者の情熱を感じる1冊。

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「キューブリック」3000円。キューブリックの解説本の中ではしっかりしていると言われており、撮影風景、インタビューなども豊富に乗っている1冊。

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CLARIS BOOKS
東京都世田谷区3-26-2-2F
03-6407-8506
火〜金12:00~20:00(日祝〜19:00) 月休(祝は営業)
http://clarisbooks.com

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