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15回の模様替えでたどり着いた”好き”の結晶の1K|マーケター・30代・一人暮らし

私らしく暮らす。 Vol.502

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15回の模様替えでたどり着いた”好き”の結晶の1K|マーケター・30代・一人暮らし

Sumiさんが暮らすのは、築10年以内のマンションのワンルーム。細長い間取りを活かしながら、15回もの模様替えを重ねて現在のレイアウトにたどり着いたといいます。高校生の頃から集め続けてきた本やアート、ほぼ毎日火を入れるキッチン、そして絵を描くための作業スペース。「好き」が高い密度で同居しながらも、どこか静かで風通しのいいお部屋を拝見しました。

text & photo : Tsubottle

お部屋を見せてくれた人:Sumiさん

職業・年齢:会社員(広告代理店)・30代
場所:東京都
間取り・面積:1K・37㎡
居住形態:賃貸・一人暮らし
Instagram

「収納、集中、安らぎ」。三つを叶える間取り

お部屋探しの出発点は、とてもはっきりしていました。

「本や服がとにかく多いんです。どれも手元に置いておきたいものばかりなので、まず収納スペースがしっかりあることが絶対条件でした」

加えて在宅勤務が多く、趣味で絵も描かかれるというSumiさん。集中して手を動かせるエリアがほしい。けれど、家は仕事場であると同時に休む場所でもある。

「作業ができるエリアを確保しつつ、安らげる生活空間のレイアウトも両立できる間取りかどうか。そこを一番見ていました」

相反しそうな条件を並べたうえで、最後の決め手になったのは街そのものだったそう。 「住む前に何度か訪れたことがあるエリアで、スーパーやカフェの選択肢が豊富なところが気に入っていました。それに、独自の穏やかさと静けさが漂う街の感じが好きだったんです」
そうして選んだのが、現在の細長い1Kでした。玄関から奥へと伸びていく形状は、一見すると家具の置き方が限られてしまいそうですが、Sumiさんはむしろその形を味方につけています。
「1Kでも、生活空間とベッドは切り離したかったんです。ここは寝る場所、ここは過ごす場所、と気持ちを切り替えられるようにしたくて」
そのために重ねた模様替えは、なんと15回。 「暮らす中で気になる点があったら、すぐに模様替えをします。今のレイアウトも、そうやって少しずつ動かしていった末に辿り着いたものなんです。家具を移動するたびに新たな可能性が見えてくるので、なかなか部屋に飽きることがないですね」
一度決めたら動かさない、ではなく、暮らしながら微調整を続けていく。その姿勢は、住まいの気になる部分との付き合い方にも表れています。

「細長い間取りなので、どうしても換気が悪いんです。特に奥のクローゼットは空気がこもりやすいので、定期的にサーキュレーターを回したり、拭き掃除・掃き掃除を徹底したりしています」

間取りの個性を活かすということは、その裏側にある弱点も引き受けるということ。手をかけ続けることを前提にした住まい方が、この部屋の心地よさを支えています。

「好き」が結晶化した本棚と、季節でめぐる壁のアート

お部屋の中心にあるのが、Sumiさんが「一番好きな場所」と語る本棚です。

「高校生の時から収集を始めた、アート、デザイン、インテリアの写真集。それにアニメ資料やDVDも並んでいて、自分の好きが結晶化された場所になっています。絵を描く時のインプット資料としても使っているので、実用的な棚でもあるんです」

並んでいるのは本だけではありません。旅先で見つけたオブジェやタイル、フレグランスが、抜けをつくるようにアクセントとして配置されています。
「自分の感性に正直でいたいので、定期的に断捨離を行ったり、並び順を変えたり。いつ見てもフレッシュな気持ちでいられるように気を配っています」
棚に並ぶ一冊として教えていただいたのが、フォトグラファー・今城純さんの写真集『earl grey』です。イギリス郊外の田舎町で撮影されたシリーズで、芝生の上にウサギが一羽たたずむ表紙が印象的な一冊。
雑貨まわりで存在感を放つのが、ロンドンのブランド「PPP LAB」のインセンスホルダーです。 「ホールの直径が大きめのインセンスホルダーを探していて見つけたブランドです。手捻りなので一つひとつ違う表情をしていて、ダークブラウンの色味もとても気に入っています。部屋に馴染みやすいのに、日本ではあまり見ないデザインなので重宝しています」

香りといえば、ニュージーランドを旅した際に連れて帰ったという「Abel」のルームフレグランスも。緑茶、柚子、バーベナという、あまり聞き馴染みのない組み合わせです。

「香りは軽やかで、活力が湧くような雰囲気なんです。日本ではまだメジャーなブランドではないので、珍しい香りを試したい方にはおすすめですね」

そして、この部屋のもう一つの主役が「壁」です。

「アーティストのアトリエのような、たくさんキャンバスが積まれた部屋に憧れがあって。ここ数年で大判の作品が集まってきたので、季節ごとに壁に掛ける絵を変えたり、雑然と立て掛けてみたり。視界の片隅にアートが留まる環境づくりを心掛けています」

きちんと整列させるのではなく、あえて「雑然と」立て掛ける。この余白のつくり方こそがSumiさん流です。 「基本的に『見せる収納』が好きなんです。ただ、インテリア好きとはいえ、ミニマルなギャラリーのような居住空間は気疲れしてしまうので、『適度な雑多さ』は大事にしています」
ものを選ぶ基準も明確でした。 「国やブランドは関係なく、瞬間的に一目惚れしたものと、経年変化を楽しめそうなもの。この両軸で見ています」 さらに、部屋の印象を大きく動かすための工夫として教えていただいたのが、季節ごとの入れ替えです。

「春夏・秋冬で、アート作品とファブリック――寝具やブランケット、クッションカバーなどを入れ替えています。なかなか変更が効かない大型家具と違って、それなりに面積があるこれらのアイテムの色や素材を変えるだけで、部屋全体の印象が変わるなと感じます」

大きな買い物をしなくても、部屋は着替えられる。真似したくなるティップスです。

お酒を飲みながら料理をする、夜のキッチンとダイニング

Sumiさんに住まいでの好きな時間を伺うと、まず挙がったのがキッチンでした。
「キッチンでお酒を飲みながら料理を作る時間が好きなんです」

ほぼ毎日自炊をするというだけあって、キッチンは徹底して「使いやすく、気分が上がるように」設計されています。調味料も器も料理本も、しまい込まずに見せる収納。

「お酒を飲みながら料理をするので、好きな作家さんのグラスや、友達にいただいたものを無印の棚に並べています。ワインは好きなエチケットのものを並べていて、花瓶代わりにもしていますね」
飲み終えたボトルが、そのまま部屋の景色の一部になる。生活の延長線上にディスプレイがある、という感覚です。
ただし、すべてを見せているわけではありません。棚の一角には、布をかけてやわらかく中身を覆っている場所があります。
「全部を出しっぱなしにすると、さすがに情報量が多くなりすぎてしまうんです。よく使うものや見せたいものは手前に出しておいて、そうでないものは布をかけて隠しています」
見せる収納が好きだからこそ、見せないものを決める。布を一枚かけるだけで棚の中の色や形の情報がすっと静かになり、手前に並べたお気に入りが際立ちます。扉の中にしまい込むのでもなく、全部を並べるのでもない。ゆるやかに視界から外すという中間の選択肢は、扉のないオープン棚に悩む人ほど真似しやすいはずです。
グラスの中でも特に愛用されているのが、作家・古賀雄大さんの作品。 「ぽってりとしたワイングラスと、グレーカラーのゴブレットの2つを購入しました。手に取った時、手に馴染む美しいフォルムに惚れ惚れするんです。もちろん飲み心地も抜群なので、お酒がより美味しく感じます。最近だと、セレクトショップでも見かけることが増えました」
そして、キッチンと地続きにあるのがダイニング。ここには、憧れだったというArtekの3人掛けテーブルが据えられています。 「よくホームパーティーをする我が家には、ぴったりのサイズ感だと思います。天板は黒なんですが、キツい印象を与えることがない、ちょうど良い質感がお気に入りで」

面白いのは、そのまわりに置かれた椅子です。しっかりとした座り心地のThonetと、あぐらをかいて寛げるAndreu Carullaのラウンジチェア。あえて揃えないという選択でした。

「バラバラのものを合わせて楽しんでいます」
黒い天板という強い要素を軸に置きながら、椅子で表情を散らしていく。本棚やアートの見せ方と同じ「適度な雑多さ」が、ここでも効いています。

最後に、これからの暮らしについて伺いました。

「今の季節、ラグで遊ぶ余地がありそうなので、デザインが面白かったり、差し色として機能するものを買いたいと思っています。冬用のラグはスクエアの落ち着いたものを既に持っているので、夏用は冒険したいですね」

好きなものを隠さずに置き、季節ごとに着替え、気になったらすぐ動かす。完成をゴールにせず、更新し続けることそのものを楽しむ。Sumiさんのお部屋は、「好き」と一緒に暮らしていくための、しなやかな方法論に満ちていました。

SumiさんのInstagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/myworldtonight/

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Tsubottle(つぼとる)

Tsubottle(つぼとる)

福岡県出身。アメリカはポートランドで写真を始め、京都・東京・福岡を中心に全国へ素敵な住まいと人の物語を記録と記憶に残しながら旅をする写真家。あなたのお住まいにもぜひ。コーヒー、ビール、美味しいご飯があれば、どんな場所でも幸せに暮らせるタイプです。
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