single.php

「なんだか見えてきたね」 大田区 下丸子

こんな町に住みたいんだ。 Vol.17

シェア
「なんだか見えてきたね」 大田区 下丸子

町歩き愛好家が本当に住みたい町をジワジワと紹介していきます。第17回目に取り上げるのは大田区の下丸子。とても落ち着いていて、でも、気どる必要はぜんぜんない。……穏やかで暮らしやすいこの町で、新しい生活をはじめてみませんか。

text : 渡辺平日

こんにちは、日用品&町歩き愛好家の渡辺平日です。この連載では、個人的に好きな町や住みたい町を、商店街を中心にじっくりと這うように案内しています。

今回は大田区の下丸子(しもまるこ)をブラブラしてきました。かつては工場街と栄えたエリアで、名だたる企業の生産拠点が建ち並んでいましたが、近年になって工場が次々と撤退……。

dsc_1111

そのまま衰退してしまうかと思いきや、ぽっかりと空いた土地に高層マンションが多数建設され、現在では住宅地としての役割を立派に担っています。うーん、それにしてもいろいろあったんですね。「人に歴史あり」とはよく言いますが、これは「町に歴史あり」という感じがします。

 

「ローカル線」だけど、アクセスはなかなか優秀です

text

駅舎はかなりコンパクト。なんだか親近感がわきますね。

そんな下丸子駅には、多摩川駅と蒲田駅を結ぶ東急多摩川線が乗り入れています。全7駅&3両編成&各駅停車という小さな路線で、下丸子に住んでいる友人は「東急のローカル線」と評していました。けれど、アクセスはけっして悪くないんですよ。

text

券売機の前にはフラワーショップが。 平日は20時、土日は19時まで営業しているみたいです。友人の家に遊びに行くときに、手土産にブーケを……というのも素敵ですね。

主要駅のひとつ、多摩川駅までは約5分。東急東横線と東急目黒線に乗り換え可能で、渋谷駅や横浜駅、目黒駅などの交通拠点に一本で移動できます。自由が丘や代官山、中目黒など、人気エリアにアクセスしやすいのもポイント。

もうひとつの主要駅、蒲田駅までは約6分です。東急池上線と京浜東北線に乗り換えでき、品川駅や五反田駅、東京駅などへスムーズにアクセス可能。通勤や通学にはもちろん、ちょっとしたお買い物にも便利な立地といえそうですね。※当初、東急大井町線と記載していましたが、正しくは東急池上線です。大変失礼いたしました

 

まずは駅の周りをチェック

text

駅周辺の様子です。改札を出たらすぐに道路で、しかもそれなりに交通量が多いのですが、不思議と気ぜわしい感じはありません。※歩道から撮影しています

text

駅の近くには24時間営業の西友があります。仕事が長引いたときや、早朝に帰ってきたときにも安心ですね。そのほかにも「まいばすけっと」や「オリンピック」、100円ショップなど、各種店舗がしっかりと揃っています。

text

コンサートやダンスコンクールなど、さまざまな企画が催されている「大田区民プラザ」があるのもポイント。生活の楽しみがグンと増しますね。体育室やトレーニングジムを手頃な料金で利用できるのもうれしい。

text

町歩き愛好家としては昔ながらの飲食店が多いところにグッときます。ローカルなお店は後ほどたっぷりと紹介するのでお楽しみに。

 

のんびりおだやかな「下丸子商店会」へ

下丸子にはふたつの商店街があり、駅周辺を中心にゆるやかな商圏を形成しています。まずは駅の西側に広がる下丸子商店会を散策してみましょう。

text

昭和24年に発足して以来、地域の人々の生活を支え続けてきた下丸子商店会。秋には「下丸子ふれあいフェスティバル」というイベントが開催され、多くの人で賑わうそうです。

text

明治創業の老舗和菓子店「豊田屋」。以前は駅の正面にありましたが、さいきんこの通りに移転してきました。隣接する系列店ではお弁当やおにぎりも取り扱っていて、前に鳥めし弁当を購入して多摩川を見ながら食べたのですが、これがなんともおいしかったです。

text

それにしても味のある看板だ。

text

ほかのお店もチェックしてみましょう。こちらは困ったときに頼りになりそうな電器屋「せのでんき」。

text

お隣の鵜の木駅から数年前に移転してきた「青木商店」。鵜の木時代の常連さんがわざわざ遠出して買いにきてくれることもあるのだとか。

text

店名が覚えやすい「マルコ」などなど、地域に根ざした店舗が軒を並べます。ちなみにこのトラットリアは、大田区のおいしい飲食店を表彰する「OTA! いちおしグルメ」で特別賞を獲得した名店なんだそう。

text

駅から5分ほど歩くと「都湯」が見えてきます。なんとこの銭湯、サウナが無料なんですよね! 水風呂もキンキンに冷えていてとてもよかったです。そうそう。建物自体はレトロですが、設備(ドライヤーやマッサージチェアなど)は新しいものが用意されていましたよ。「すこしでも快適に過ごしてほしい」という心づかいが嬉しいですね。

text

建物の様式は宮造り建築。「これぞ東京の銭湯!」と喝采したくなります。

text

そういえば。都湯の近くに「足湯カフェ」なる珍しい店舗がありました。公式サイトによると、8種類の入浴剤から好きなものを選び、大型モニターで温泉の映像を観ながら足湯を楽しめるとのこと。気になる料金は足湯+ドリンクで700~800円程度。どんな感じなのかちょっと体験したいですね。

 

おいしいがいっぱい。「下丸子商栄会」へ

text

続きまして、駅から南側に広がる下丸子商栄会にやってきました。最大のイベントは秋に催される「オータム・フェスタ」。模擬店やフリーマーケットをめあてに、毎年、大勢のお客さんがこの通りを訪れるそうです。

text

元気な青果店を発見しました。

text

フルーツにんじんや葉たまねぎ、タアサイなど、ちょっと珍しい野菜が多数取り揃えられています。料理が好きな人は足繁く通うことになりそう。

text

いい店構え&いい店名の「長寿」。個人的な見解ですが、天ぷらを「天婦羅」と表記しているお店はおいしいところが多い気がします。

text

おっ、テイクアウトコーナーだ。もし下丸子に住むとして……。食事のときに「もう一品ほしいな」と思い、自転車を漕いで長寿に訪れる自分の姿が容易に想像できます。

text

ステーキハウスもございます! 「特選品 特別入荷」という手書きのポップがまぶしい。

text

むかしはどんな町にもあった「なんでも屋さん」を見つけました。なんとなくセンチメンタルな気分に。

text

センチメンタルといえば、このエリアには公園がいくつかありまして。子どもたちが楽しそうに駆け回っている様子を見てたら、なんだかまた懐かしい気持ちに……。写真は駅から一番近い公園の「下丸子児童遊園」です。立地が非常によく、祭りの会場として利用されています。

text

タコのオブジェがでんと設置されています。この公園、地元では「タコ公園」として親しまれているらしく、「なるほど。これがあるからそう呼ばれてるんだな」と思ったのですが……。なんとなく調べたところ、このタコはごく最近に作られたものという情報が。うーん、つじつまが合わないな。ここからは推測です。おそらくむかし、タコをモチーフにした遊具か設備があって。それが老朽化によって撤去されたのち、その遊具なり設備を偲んでオブジェを設置した……という経緯があるのではないでしょうか。

 

鮭のエスカベッシュ、キヤノン、そして多摩川へ

text

僕の推理はいったん置き。このへんでさらに南下して多摩川を見にいきましょう。

text

おや、いい雰囲気のカフェがありますね。

text

メニューもかなり凝ってます。これは期待できそう!

text

このお店の売りは「料理と音楽」。アーティストを招き、定期的にライブやコンサートなどを開催しているそうです。僕がいいなと感じたのが「昼ジャズ」という企画。夜のイベントと比べてミュージックチャージもお手頃ですし、フラッと気軽に参加できますね。

text

今回は鮭のエスカベッシュ(地中海風の南蛮漬け)をオーダー。鮮やかな見た目に反し、これがなんとも繊細な味わいで、「そうだ。鮭って白身魚だったんだな」ということを思い出させてくれました。鮭は脂の「のり」が重視されがちで、僕自身もキングサーモンが大好きなんですけど、こういう上品な味付けもいいなと感じました。

text

お腹がいっぱいになったところで町歩きを再開。川の近くにはキヤノン(キャノンではなくキヤノン。文字のバランスを考えて大文字にしたらしいです)の施設や工場が集まっています。この建物も十分に立派ですが、さらに2倍くらい大きいビルと3倍くらい大きいビルが並んでいて、「そうか。キヤノンというのはグローバルメーカーなんだな」とあらためて実感。

text

多摩川に到着。春の気候もあいまって実に気持ちがいいです。そういえば、前に読んだ本に「たくさんの水を日常的に目にするというのは、人間にとってあるいは大事な意味を持つ行為なのではないだろうか。」という一節があって。こうして「たくさんの水」を眺めていると、たしかにそのとおりだなと納得してしまいました。

text

あれは武蔵小杉のビル群ですかね。遠くから見るとなんだかジオラマみたいでかわいらしい。

川を眺めてのんびりしたところで町歩き終了。続いては恒例のお部屋紹介のコーナーです。周囲の主要駅と比べると、下丸子は家賃相場はやや低め。23区内ですのでけっして安くはありませんが、じっくり探せば5万円台後半のお部屋も見つかりますよ。

窓から緑がのぞく。機能充実のワンルーム。(1R/22㎡/6.8万円)

外の緑が目に優しいお部屋をご紹介。居室自体はコンパクトですが、水回りはすべて独立していますし、キッチンもなかなかの広さで暮らしやすいと思います。徒歩約5分と駅まで近いのもうれしい。

外の緑が目に優しいお部屋をご紹介。居室自体はコンパクトですが、水回りはすべて独立していますし、キッチンもなかなかの広さで暮らしやすいと思います。徒歩約5分と駅まで近いのもうれしい。

 

さいごに

dsc_1161

朝は川辺でランニング。昼はお気に入りのカフェでランチを楽しんで、夜は少しだけおめかししてジャズのコンサートへ……。そんなふうに休日を満喫する自分の姿が、なんだか見えてきたような気がします。みなさんはどんな暮らしがイメージできましたか?

もし町選びで悩んでいる方がいたら、ぜひいちど下丸子へ遊びに来てみてください。なにか素敵な発見があるかもしれませんよ。

おまけ

text

実はこの下丸子。人気作品『それでも町は廻っている』の舞台としても知られています。

dsc_1131

dsc_1174

漫画やアニメで登場するお店があちこちにあります。興味がある方はぜひお立ち寄りを。

漫画やアニメで登場するお店があちこちにあります。興味がある方はぜひお立ち寄りを。

渡辺

渡辺平日

渡辺平日

日用品愛好者。常に異常な物欲と戦っています。町歩きやお部屋探しも好きで、ふと気がついたらグッドルームの取材ライターになっていました。主な寄稿先は「LaLa Begin」「北欧、暮らしの道具店」「PERFECT DAY」など。

シェア
「なんだか見えてきたね」 大田区 下丸子
この記事を気に入ったら
いいね!しよう
twitterで購読

関連記事

[東京] 住める!おしゃれ賃貸まとめ Vol.118

近所でお買い物する生活を。東京・商店街が元気で住みやすい街のお部屋まとめ

自粛期間が長く続いた、今年の春。電車に乗ることも少なくなり、自分の住んでいるエリアを改めて散歩してみて、周辺環境の充実具合を改めて見直した方も多いかも。今回は買い物やテイクアウトにも便利な、商店街が元気な住みやすい街にあるお部屋をご紹介します。…

goodroomスタッフと歩く「住みやすい街」Vol.31

「豊富な自然」と「便利さ」のバランスが良い。若い夫婦に勧めたい街「調布」を歩きました

自分が自分らしくいられるように、心地よく暮らせる街は自分で選ぼう。31回目にご紹介する街は、「調布」。再開発が進み便利になった一方で、まだまだ豊かな自然の残るバランスの良い街。そんな調布を歩いてみました。…

goodroomスタッフと歩く「住みやすい街」Vol.23

「便利さ」と「人の温かさ」のバランスがいい。京王線・笹塚駅

自分が自分らしくいられるように、心地よく暮らせる街は自分で選ぼう。23回目にご紹介する街は、京王線の走る街「笹塚」。甲州街道を挟んで南北に広がる住宅地と商店街。都心に近く便利なだけではない、笹塚の魅力を感じてきました。…

spacegray
main_copy
sub_copy
goodroom