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東京、ワンルームで持たない暮らし。男性Webエンジニアの部屋

TOMOS people Vol.23

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東京、ワンルームで持たない暮らし。男性Webエンジニアの部屋

写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
今回は、男性Webエンジニアさんのひとり暮らしのお部屋に訪問。天井の高い、ロフトつきのワンルーム。余計な物をほとんど置かないシンプルな暮らしに、ふだん物にまみれて生活している私も大山さんも驚愕。かっこよさに感嘆しきりです。
(編集部)

text & photo : Ken OHYAMA

ロフトつきワンルームでシンプルライフ

今回拝見した中村さんの部屋は、本連載史上最もミニマルだった。ここまで人はシンプルにかっこよく暮らせるのか。これまでおじゃましたどの部屋もすっきりしたすてきな部屋ばかりだったが、今回は群を抜いている。京王線で新宿からすぐと立地もすばらしい。

玄関からキッチンなどを通り抜けて、数段階段を下がった空間が居室。下1/3は半地下ということになるが、一面がすべて窓で天井が高いのでとても明るい「眩しいぐらいですよ」と中村さん。

天井高なんと3600mm! 玄関からキッチンなどを通り抜けて、数段階段を下がった空間が居室。下1/3は半地下ということになるが、一面がすべて窓で天井が高いのでとても明るい。「眩しいぐらいですよ」と中村さん。

まるでモデルルームのようなシンプルさが天井高とあいまって広々と感じさせている。

まるでモデルルームのようなシンプルさが天井高とあいまって広々と感じさせている。

数年前「若い世代に、物を持たない価値観が広がっている」なんていわれて、関連書籍もたくさん出版された。「ほんとうに世代の問題かよ」「というかそれ以前にほんとうにそんな暮らしできるのか」と物が大好きで捨てられなくて、泥棒でも入ったのかといわれる惨状の部屋で日々過ごしているぼくなんかは思ったものだが、可能なのだ。いつかぼくもこういう風に部屋をすっきりさせたい。このどうにもならない彼我の差を見せつけられて「こりゃあ世代の問題にもしたくなるな」と思った。中村さんはぼくよりも一回り以上若い。いうまでもなく実際は年齢ではなく個人の問題なわけですが。

収納の上にベッドスペースが。これがほんとうのロフトだよな、と思った。この天井の高さならではだ。かっこいい。

収納の上にベッドスペースが。これがほんとうのロフトだよな、と思った。この天井の高さならではだ。かっこいい。

関連書籍で思い出したが『フランス人は10着しか服を持たない』という本にシリーズ第2冊目が出ているのを知って面白く思った。そんなに物を持たない人がはたして本買うのか? この調子で10巻まで出たらいいのに、と服も本も好きでついつい買ってしまってクローゼットも本棚もパンパンであふれかえっているぼくはシニカルに思った。そして中村さんはいでたちもシンプルですてきなのであった。いわゆるノームコアというやつだろうか。「クローゼットがやや小さめですけど、それほど困ってはいないです」という中村さん。水玉のシャツというカメラマンにあるまじき衣装で取材に臨んだ(映り込みなどがあるので、ちゃんとしたカメラマンは黒ずくめなのです)自らをかえりみた。

ロフトの下から部屋を見た様子。それにしてもほんとうにすっきりしていてすてき。実はぼくの部屋も天井高3500mmあるのだが、まるで違う。憧れる。

ロフトの下から部屋を見た様子。それにしてもほんとうにすっきりしていてすてき。実はぼくの部屋も天井高3500mmあるのだが、まるで違う。憧れる。

そして一番驚いたのは本の少なさだ。webエンジニアだと、仕事柄必要な本もたくさんあるでしょう、仕事場に置いているのですか? ときいたところ「紙で買って、これはとって置こうというものは電子書籍を買い直して紙の方は売ります」とおっしゃっていて、完敗だ、と思った。先日友人の作家が「本を床に置くのがいやだから図書館にあるワゴン探してる」と言っていて「それ良いアイディア!」と盛りあがった。つまりぼくらに本を減らす気はないのである。それ以前に「床に本が積み重ねられがち」という前提が共有されているのがどうしようもない。まあでも作家はしょうがないよね。そして調べてみたら『フランス人は10着しか服を持たない』はちゃんと電子書籍版も出ている。

物らしい物といえばこれぐらい。本もここにあるのがすべてという。階段に置くっていうのがまたかっこいいではないか。

物らしい物といえばこれぐらい。本もここにあるのがすべてという。階段に置くっていうのがまたかっこいいではないか。

中村さんにとって自然な暮らし方

ぼくが感銘を受けたのは、おそらくこういうスタイルは中村さんにとって自然であるということだ。つまりシンプルな暮らしをしよう、とがんばってこうなっているわけではなく、たぶんこれがふつうなのだ。「もともと家にいないことが多いです」という中村さん。

部屋で異彩を放っていたバスケットボールは「友達がチームやってて、誘われてはじめました」と。この部屋に引越を決めたのも、職場に自転車で行ける距離だから、という。こういういろいろなお話を聞いて、東京で暮らすってこういうことだよな、と深く感じ入った。この街には楽しいことがたくさんあって、あとは気のあった友達がいれば、部屋にいろいろものをため込む必要もないのだ。中村さんは東京を信頼しているのだな、と思った。このシンプルな部屋はその表れだ。

天井高なんと3600mm! 決して広い部屋ではないけれど、ぜんぜん窮屈な感じがしない。

きけばこの日もこのあと浅草に友達と飲みに行くという。新宿周辺に住んでいる人も東の方に遊びに行くんだ、とちょっとびっくりしたら「友人がいるので。どこでも行きますよ」と中村さん。部屋でほとんど料理をしないとおっしゃるのをきいて、キッチンはもっと「家具化」すればいいのにな、と思った。本棚や家電のように「必要になったら必要なだけのスペックのキッチンをあとから設置する」ということができてもいいのに。中村さんの暮らしを見ると、空間と設備と家具の区分けはもっと自由になるべきだと気づいた。

ということで、恒例の「集めているものを並べて撮る」という写真は今回はなし。だいたいこの「たいていの人は何か集めているはずだ」というぼくと編集田村さんの思い込みが何かを物語っている。電子書籍を買って紙の方は手放す、という話に衝撃を受けたぼくらふたり。帰り道に「ぼくらみたいに写真集をたくさん買っちゃう人間にはあれはできないよねえ」などと負け惜しみを言い合ったしだいだ。

大山 顕

写真と文:大山 顕

“ヤバ景” フォトグラファー / ライター。1972年11月3日生まれ。住宅都市整理公団総裁。出版、テレビ出演、イベント主催などを行う。「”ヤバ景”って何?」「”総裁”っておおげさじゃない?」など各種ご興味がわいた方は OHYAMA Ken.com にいってみてください。
Twitter (@sohsai)Facebook

(最後にもう一度編集部から)
グッドルームのオリジナルリノベーション「TOMOS」のお部屋は、東京・大阪・名古屋・福岡で、毎月10~20部屋登場します。社員も気に入って住んでいる者が多い、無垢フローリングの居心地のよい空間を体験してみてくださいね。

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